今回は13年連続増配をしている山口フィナンシャルグループについて分析しました。
山口フィナンシャルグループとは
山口県下関市に本社を置く金融持ち株会社。傘下に地方銀行である山口銀行、北九州銀行、第二地方銀行であるもみじ銀行があります。
2006年に東証一部上場企業に上場。現在は、東証プライム市場に上場しています。
山口フィナンシャルグループの直近決算
山口フィナンシャルグループは2023年11月に2024年3月期 第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)を発表しています。
経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加等を主因として、2023年3月期比151億67百万円増加して894億79百万円となりました。
経常利益は2023年3月期比32億79百万円増加して199億38百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比13億7百万円増加して135億71百万円となりました。
2023年5月に発表された2024年3月期連結業績予想によると第2四半期の経常利益予想165億万円に対し、実績は199億38百万円とよい結果になっています。通年の経常利益予想は、350億円になっており今後どのように進捗するか楽しみです。
株価推移
直近1年間の株価をみてみましょう。2023年の年初は800円台からのスタートでしたが、日経全体の好調の影響を受けて1400円代近くまで上昇しています。
最終利益(億円)
期間 | 通算最終利益 |
2019年3月期 | 231 |
2020年3月期 | 254 |
2021年3月期 | 250 |
2022年3月期 | -130 |
2023年3月期 | 179 |
2024年3月期 (会社予想) | 240 |
2021年3月期以降、コロナ禍の影響を受けて最終利益は下り坂でしたが、2023年3月期は回復基調で2024年3月期はコロナ前の水準近くまで回復すると予測しています。
2023年3月期第2四半期までの最終利益が135億71百万円ですので、このまま推移すれば業績予想をクリアできそうです。
配当推移
中間配当 | 期末配当 | 年間配当金(合計) | |
第18期 (2024年3月期) | 21円 | 22円(予測) | 43円(合計) |
第17期 (2023年3月期) | 15円 | 16円 | 31円 |
第16期 (2022年3月期) | 14円 | 14円 | 28円 |
第15期 (2021年3月期) | 13円 | 13円 | 26円 |
第14期 (2020円3月期) | 12円 | 12円 | 24円 |
第13期 (2019年3月期) | 11円 | 11円 | 22円 |
第12期 (2018年3月期) | 10円 | 10円 | 20円 |
第11期 (2017年3月期) | 10円 | 8円 | 18円 |
第10期 (2016年3月期) | 7円 | 8円 | 15円 |
第9期 (2015年3月期) | 7円 | 7円 | 14円 |
第8期 (2014年3月期) | 6円 | 7円 | 13円 |
第7期 (2013年3月期) | 6円 | 6円 | 12円 |
第6期 (2012年3月期) | 6円 | – | 11円 |
2012年3月期以降、配当金は右肩上がりで推移しています。2024年3月期の予想は43円になっています。山口フィナンシャルグループは、配当性向40%程度を目標設定しており、株価を下支えするため自社株買いも積極的に行っています(2023年度は2年連続で自己株式100億円取得を公表)
株価等指標データ(2024年1月4日時点)
企業名 | 銘柄コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
山口フィナンシャルグループ | 8418 | 1,265 | 16.34倍 | 0.48倍 | 43円 | 3.39% | 40.04% |
配当利回りは、3.39%と高配当株と呼ぶには少し物足りない気もします。PBR0.48倍と市場平均と比較するとかなり割安な結果になっています。
株主優待
山口フィナンシャルグループの株主優待はこちらです。
- 100株以上1,000株未満保有する株主さまには500円のQUOカードをお届けしています。
- 1,000株以上保有する株主さまにはお好きな特産品をお選びいただける「地元特産品カタログ」をお届けしています。
地元特産品カタログから山口・広島・九州・愛媛の特産品が選べるようです。個人的に気になったのは山口県の「ぶどうおまかせセット」です。
詳細は、山口フィナンシャルグループのHPをご覧ください。
競合比較
銀行名 | 総資産額 | 売上高 | 最終利益 |
山口フィナンシャルグループ | 12兆2116億円 | 1573億円 | 179億円 |
ひろぎんホールディングス | 11兆4960億円 | 1602億円 | 125億円 |
ちゅうぎんフィナンシャルグループ | 10兆2082億円 | 1835億円 | 204億円 |
山陰合同銀行 | 6兆8774億円 | 1126億円 | 144億円 |
中国地方をメインターゲットにている地方銀行を総資産額・売上高・最終利益で比較してみました。総資産額だけを見ると山口フィナンシャルグループが首位です。
しかし、東京商工リサーチ広島支社が2023年の企業のメインバンクに関する調査結果を見ると、山口銀行、もみじ銀行のシェアをあわせると17.25%で、広島銀行には僅差で及ばない状況になっています。
今後は、中国地方でも強固な地盤を築き、北九州銀行を起点にしてさらに商圏を広げていくことが課題です。
市場の状況
銀行株を購入するときにもっとも気になるのは日銀によるマイナス金利解除ではないでしょうか。日本では長年マイナス金利状態が続いており、銀行の収益を圧迫してきました。今後、日銀がマイナス金利を解除するとなれば、銀行の収益に好影響を与え株価が上昇することが予想されます。
山口フィナンシャルグループも、YCC撤廃およびマイナス金利解除により邦貨貸出金利息は30億円以上増加を見込んでいるようです。
ゼロゼロ融資の返済状況の気になるところです。山口フィナンシャルグループでは、2023年度中に全体の71%が返済開始済みの見通しと公表しています。しかし、海外景気の下振れ、円安、物価高、人手不足と企業業績の足を引っ張る要素はたくさんあり、ゼロゼロ融資の返済が滞れば、山口フィナンシャルグループも大きな打撃を受けます。そのため、山口フィナンシャルグループには、企業支援力の向上、地域企業の経営課題の解決、地域経済の活性化につながることを期待します。
まとめ
今回は、山口フィナンシャルグループについて分析しました。地方銀行と聞くと「オワコン」の印象がありましたが、13年連続増配や女性管理職を増やす取り組み、地方創生サミット「Shimonoseki Add‐venture Summit(SAS)」の開催など先進的な取り組みをしている企業でした。
山口県にはあまり縁がないのですが、今後の動向が気になる山口フィナンシャルグループでした。
youtubeでも解説動画をアップしていますので、こちらもあわせてご覧ください。